道を横切る、知らない猫。
駐車場の車の下に入る。
それを見て、チュールとモンプチとシーバを握りしめて向かう。
あまり警戒しない猫だ。
目の前にシーバを出す。
食べない。
チュールを上にたらす。
舐めた。
かわいい。
チュールを口元に持っていく。
匂いをかぐ猫。
舐める。
かわいい。
あの恍惚な表情。
チュールをなめる猫は、幸せそうだ。
瞼を時折とじて、おいしそうになめる。
この子は飼われているのだろうか。
茶色の毛に包まれて、エメラルドにひかる瞳。
周囲を警戒しながら、シーバを食べる。
カラスの鳴き声、スズメの鳴き声、車の音、人の歩く音、風に音。
いろんな音に囲まれながら、その猫は生きている。
我が家の猫は、家から出ない。
これは幸せなのだろうか。
野生的な環境で、本能的に生きること。
人工的な環境で、安心して生きること。
人間のエゴが、地球とそこに生きる動物を変えている。
無垢な人間などいないし、無垢な動物もいない。
環境に影響を与えない動物はいない。
人間の影響力は、もはやコントロール不可能になって、
人類は絶滅するかもしれない。
数億年後はいないような気がする。
駐車場の猫は、車の下で幸せそうだ。
朝5時の駐車場。幸せとあくびを噛みしめた。