父が癌と宣告された。
定年退職して4年ほどになる。
長く働いて、家族を養い、
肩の荷が降りたところだった。
コロナがあり、旅行にも行けず、
老後らしい生活ができなかった。
最近ではコロナも落ち着きを見せて、
そろそろ旅行でも行けるかなという兆しがあった。
そんな中で、癌とは。
父は、宣告されても普段と変わらない。
ショックは大きいだろうけれど、
見せない。
母は、だいぶ苦しそうだ。
どう接していいか、声をかけたらいいか、
何ができるのか。
癌について調べれば調べるほど、死についての情報があつまる。
余命、生存率、悪性、転移、末期…。
正しく恐れるということのむずかしさを思う。
いたずらに恐れず、かといって楽観もせず、
適当な恐れを抱くことのむずかしさ。
それも二人暮らしで、すぐ隣に夫がいる状態で。
かなりの困難がそこにはあるようだ。
癌患者を支える人を、支えることも必要だ。
母には自分を責めないでほしい。
過去を振り返って、
食事にもっと気を遣えばよかったとか、
あの時ああしたら、とか。
現在についても、
役に立てていないことを責めないでほしい。
癌について調べていると思うし、
食事についても調べているだろう。
隣にいるだけでいい、ということもある。
話を聞くだけでもいい。
支えられる人も、
支える人も、
支える人を支える人も、
みんなそれぞれ、大変だ。
私にできることは、
父母の話を聞くことや、
癌について調べること、
自分の生活をしっかりとすることだ。
必要以上に暗くなることなく、
淡々と知識を増やしていくこと。
このタイミングで、
癌が見つかったことに、
感謝する。
家族一丸となって、
支え合う体制を整えていきたい。
恩返しは今だ。