サウナの老人

 

サウナに昨年から通っている。

 

週に1日ペースで通っていて、曜日はまちまち。

時間は、早朝や午後。

 

そのサウナには、いつ行ってもいる高齢の方がいる。

 

早朝でも、午後でもいる。

平日でも、土曜日でもいる。

 

きっと定年後であるのだろうけれども、

いすぎなのだ。

 

サウナは体力を使う。

サウナ、水風呂、休憩。

 

その方は、休憩をせずに、

サウナと水風呂を行き来することが多い。

 

サウナは100度で、水風呂は15度。

 

身体は、高温で死を感じ、低温でも死を意識する。

そのことで、「整った」と言われる状態になる。

 

かの老人は、ガリガリに痩せていて、骨張っている。

色は日焼けサロンに行っているのだろう。黒い。

 

私は、サウナ10分、水風呂1分、休憩10分のセットを4セットしている。

老人は、10セットはしているだろう。

 

4セットでも、終了時には整いすぎて、眠気が襲う。

体力が奪われる。いわんや・・・。

 

100度の空間で、考えた。

老人は、ミイラになろうとしているのではないかと。

 

サウナは健康のためのものであるのに、

老人は、死のうとしている!

 

実際は、健康のためにサウナへ行っているのかもしれないが、

ひと度その思考に陥ってしまった私は、

老人を見るにつけ、死の匂いを嗅ぐ。

 

サウナを愛し、サウナで死ぬことを夢見る老人は、

今日もサウナにいるだろう。