父、初期癌との診断も、末期癌だった。

 

父は定期的に血液検査していて、

ある数値が高いので、

念のため精密検査を受けた。

 

結果、前立腺癌を告知されたが、

初期という診断だった。

 

初期なので、

転移もなく、手術で足りるだろうという予測。

 

ただ、悪性度が10段階で9だった。

 

その後、

転移の検査を受けた。

骨にも、リンパ、臓器にも

転移はないとの診断だった。

 

そもそも癌ではないだろうけど、

念のため検査を受けた。

それが4ヶ月待ちだった。

 

結果、悪性度の極めて高い癌だった。

そして、前立腺の表面だけではなく、

両翼に広がっていた。

 

最初の血液検査の結果は、

さほど高くなかった。

 

よって癌ではないか、

初期の癌の可能性が疑われた。

 

結果悪性度の高い癌が、

広範囲に広がっていた。

 

しかし、幸い転移はなかったので、

前立腺を全摘出して、

あとは、定期的に検査して、

数値を見守るという状態だった。

 

我々、家族は安堵した。

 

そして一昨日、メールが届いた。

 

術後の検査結果。

ステージ4の癌。

 

検査をいくつもして、

転移がないという診断結果だったはずが…。

 

検査には表れなかった癌が、転移していた。

 

衝撃的すぎて、ちょっと考えることをやめた。

他のことで気を紛らわせた。

 

弱い自分は、現実を直視することが怖かった。

 

長兄、次兄は、実家に電話したという。

 

父母の気持ちはいかなるものか。

医者を責めたくもなるだろう。

定期的な検査などやることをやったのに、

どうしてこうなるのか。

 

予想を何度も覆された。

癌ではない診断からステージ4申告まで、

半年ほどしか経っていない。

 

悪性度が高すぎる!?

 

癌ではないというレベルの数値でしか表れないような末期癌だったのか。

 

それとも、この半年で初期癌が、末期癌に成長したのか。

 

どちらも、ありえないような気がしてしまう。

 

防ぎようのない癌だ。

 

とにかく、今思うのは、

父には残りの人生を幸せに生きてほしい。

 

支える母も幸せでいてほしい。

 

ひとはなぜ、死ぬのか。

定年退職したら、コロナが蔓延して、

コロナも死亡率が下がってきた矢先に、

癌を宣告され、初期と思いきや、

末期癌。

 

働くために生きてきたのか。

退職後にやりたいことが、なかなかできず、

治療の日々がはじまる。

 

働いて、働き終わって、時間を手にした時、

その時間を治療に奪われる。

 

それでも、メールで、

私たちの心境を思いやり、子の健康を願う父。

 

私は、私のことをしっかりとする。

その上で、父母にできることを、さがそう。

癌を知ろう。

家族に共有しよう。

 

悲しむことが、今できる最高の行動ではない。

 

正しく癌を恐れるように、学び。

癌の人の気持ちを想像し、学ぼう。

 

父母が幸せになれる道を探そう。

 

育ててくれた恩返しが、足りていない。